香蘭女子短期大学

KORAN WOMEN’S JUNIOR COLLEGE

保育学科

【密着授業取材】経験豊富な“保育者の先輩”が伝える心構え、リアルな歩み…現場に出るのがもっと楽しみになる授業です!【Vol.2】

キャリアモデルは先生!保育者としての歩みをお話しします

 現職の保育者たちが実際どのようにキャリアを積んでいるのかを学生たちが知る機会は多くありません。寺地先生は1つの例として、自身の保育者としての歩みを語りました。
 保育者になろうと思ったきっかけは、高校のときに憧れていた東京の大学への進学を断念し、高校の系列の大学への進学を決めたこと。子どもが好きだし「なんとくなく」だったと明かしました。しかし、大学2年の時に実習に行った保育所で「こんな先生になりたい」と思う先生に出会い、そこで延長保育のアルバイトも始め、これがのちに「保育の道に進む大きなきっかけ」となります。
 大学4年の12月、就職先がなかなか決まらない中、大学の先生が「学生を探している園がある」と紹介してくれた園に3日間、自主実習に行きました。毎日違うクラスに入り、感想をノートに書いて提出し、最終日には園長先生とお話する機会をいただきました。実習が終わった後、紹介してくれた大学の先生から採用が決まったことを伝えられました。「就職に直接つながる実習とは思っていなかったけれど、その3日間で子どもとどんなふうに関わっているか、ピアノがどのくらい弾けるか、他の先生とうまくコミュニケーションがとれるか、文章がきちんと書けるか等を見られていて、全部が就職試験だったわけです。『言わなくても片づけや給食を運んだりできる』と言ってくれた先輩もいて、それは延長保育のアルバイトの経験があったからできたこと。毎週2時間程の経験がすごく保育者の自分を育ててくれていたんです」(寺地先生)。

悲しいことも大変なことも…それでも保育者はすごくいい仕事です

 保育士としてのキャリアをスタートさせ、1年目は1歳児クラス、2年目は0歳児クラスを担当しました。「最初に担当させていただいた子どもたちは、今高校2年生です」と自然と笑顔がこぼれます。
 0歳児の保育ではまだ不慣なことが多く、隣りのクラスの先生に「ミルクは次何時にあげればいいですか?」と聞くこともあったといいます。「保育者ってなんでも自分一人でできないといけないと思うかもしれませんが、『助けて』と言う力もすごく大事。保育は自分の強みを大事にすればいいと思います。私はクラスだよりなどの文章を書くことや子どもたちと歌うのがすごく好きだったので、そこを大事にしていました」。
一生懸命仕事に向き合うからこそ、趣味の時間の大切さも力説します。先生は保育士になってからも趣味の吹奏楽を続けたり、ドライブも楽んでいるとのこと。「仕事だけになるとつらいから、みんなにもしっかりプライベートも楽しんでほしいと思います」とアドバイスしました。
 保育士として7年目になると、他の場所で学びたい気持ちもあり、区役所での勤務を始めました。このときに「保育者をやっているのに知らないことがたくさんある」と感じ、大学院に進学。3年コースで教育、心理、福祉の分野を学びました。
 3人の子どもを出産し、育休、育児短時間などの制度も活用しながら12年間保育士として勤務した経験を振り返り「子育てしながら仕事するって本当に大変です。でも『お母さんはあなたしかいないからいいのよ』と言ってくれる所長や先輩に時には甘えたり、我が子と同じクラスの子の先輩であるお母さんたちが『働きながら一緒に子育てしよう』と言ってくれて、一度も仕事を辞めずに続けてきました」と話しました。
 大学院に通いながら感じていた「自分が勉強不足だったと感じていたことを学生に伝えたい。保育の質を上げるには、保育を学ぶ学生たちと一緒に学び合うことが土台になるのではないか」という思いを香蘭の講師になって実現。「私はいつ保育者に戻ってもいいと思っています。保育者は大変だけどすごくいい仕事で、天職だったなと今でも思っています」。楽しかったこと、悲しかったこと、大変だったこと…。先生がありのままに伝えた1人の保育者としての歩みは、どんな教科書よりもリアルなエピソードや思いが詰まっていました。

先生の授業は、保育者の後輩たちへのエール

 寺地先生は、保育者のキャリア形成の問題点について「明確に持てる目標がない」ことを挙げます。主な役職は副主任、主任、所長または園長で、企業のようにたくさんのポストがあるわけではなく、また、結婚や出産、夫の転勤といった私生活のイベントにも左右されます。公私ともに目標にできるようなロールモデルとなる先輩が現時点では少ないことも指摘し「みなさんが今から行く実習先ではぜひ目標となる先生を見つけられるといいですね。いい出会いがあって、充実した実習を送ってください」とエールを送りました。
 授業の最後には、学生たちが自分のキャリアを思い描くアクティビティーを実施しました。1年後、3年後、5年後、10年後、20年後の自分の姿や目標などを記入するもので、学生たちは「難しい」と言いながらも、楽しそうな表情で将来に思いをはせていました。
寺地先生がキャリア形成に関する授業で、自身のキャリアを話したのは今回が初めてだといいます。「先々のイメージを持ちにくいのではないかと感じたので、たった1例にしかならないけど学生に話してみようと思いました」とその思いを明かしました。「今は結婚、出産しても保育者を続ける人が増えてきています。保育の質を上げるためには多くの保育者に長く働いてもらうことが重要です。ちょっと恥ずかしい思いもありましたが、みんなしっかり聞いてくれたので、その1例として多少道筋を示せたんじゃないかなと感じています」。
学生たちは先生の講義からたくさんの情熱を受け取ったようで、「将来のことを楽しみにできたので、その思いを持って大変な就活を乗り越えたいと思いました」「友達から『保育士は給料が少ない』とか言われて不安だったけど、先生の話を聞いて不安がなくなりました」といった感想が上がりました。
「理論」を学ぶ授業ですが、教材はテキストだけではなく、先生の経験がふんだんに活かされ多くを学べます。そして、先生が学生に教えるというより、保育者の先輩であり女性の先輩が、これから社会に出ていく後輩たちに、よりよく生き、よりよい保育者になってほしいと背中を押すような温かい雰囲気。社会に出るのがもっと楽しみになる授業です。

保育学科 講師
寺地 亜衣子先生

福岡県太宰府市出身。休日は家でのんびり過ごしながら、趣味の音楽を聴くことで癒やされている。担当科目は「教育実習」「保育者論」「教育課程総論」

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