香蘭女子短期大学

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食物栄養学科

「社会で求められている」栄養士という仕事、そしてSDGsの取り組み【Vol.1】

小さい頃から健康のことを考える機会が多かった。

わたしはここの卒業生なんです。香蘭を卒業した後、栄養士として香蘭の寮で働いて、その後に短大で助手として働きながら通信教育で大学、大学院と進んだ後、社会人入学の大学院博士課程で学位をとって、今にいたります。18歳からなので、もう45年になりますね(笑)

食に興味をもったきっかけは、家庭の影響があったと思います。当時はどの家庭でも子どもが食事の用意を手伝う時代でした。母が料理を好きだったこともあり、手伝いながら自然と食に関心が生まれるようになっていました。長崎の対馬出身なので、イカの料理をよく作っていました。(笑)。栄養士という仕事も、実家が健康関連の仕事だったので、やっぱり健康のことを考える機会が多かったんです。あとは、資格をもって仕事をするということを考えていく中で栄養士の道を自然と志していました。

栄養士の1番の仕事は「病気にならないように支援すること」。

私は「栄養疫学」の研究をしてきました。栄養疫学というのは、本当に面白い学問なんです。食べている物や食べ方と健康との関連を疫学的な手法を用いて明らかにする学問です。明治の頃は「病気=感染症」という考え方でした。その頃、都会では脚気(ビタミン不足などで陥る病気)という病気が流行っており、重くなると心臓が止まって死ぬこともあったんです。しかし、田舎に帰ったら治るという現象が起きました。そこで、都会では白米を食べ、田舎では麦飯や玄米ご飯を食べることが原因かもしれないと考えた高木兼寛軍医が、2隻の軍艦を白米食と麦飯に分けて比較検討したところ、麦飯の場合脚気が激減したというのです。これによって、脚気の発症には食事が影響していることが分かったのです。それを発見したところからこの学問ははじまりました。面白いですよね(笑)

そういった意味でも、栄養士の本質的な仕事は正しい食習慣による「病気の予防」だと思っています。食で病気を治すというのも仕事ですが、やっぱりまずは病気の予防です。病気にならないようにするために、「何をどのように食べるか」というのがとても大事になってきます。いま日本は高齢社会になっていますが、みんなの健康を考えていくという意味でも、そうした一次予防(病気にならないようにすること)がとても大事になってきます。栄養士はそこに一番貢献できる仕事だと思っています。

栄養士はAIにはできない「残り続ける職業」。

栄養士は、オックスフォード大学認定の世界的に残り続ける職業と言われています。栄養指導は個人個人に合わせていかなければいけないので、AIやビックデータではできないことが多いんです。

例えば、食べ物だけでなく、食べ方や、その人の生活習慣、場合によってはその人自身の性格なども考慮して考えていかなければなりません。地球上に同じ人は二人いませんからね。
完全栄養食品のようなものも、本当はそうした「これを食べておけば大丈夫!」というものはないんです。ちゃんとバランス良く食べていくことが最も重要になってきます。

そういった意味でも、あらゆる複合的なことを考慮して判断していく栄養士という仕事は残り続けると思います。近年は食育基本法ができたこともあり、栄養士は注目されている職業になっています。コロナ禍である現在でも、就職率100%ということで証明されているかもしれませんね。

食物栄養学科 宮﨑先生
長崎県出身。香蘭を卒業後、同校の寮で栄養士になる。その後助手をしながら研究を続け、博士の学位を取得し、今に至る。香蘭歴45年。趣味は勉強も兼ねてスポーツジムではじめた筋トレ。
担当科目:「公衆栄養学」「栄養指導論」

「社会で求められている」栄養士という仕事、そしてSDGsの取り組み【Vol.1】